消費税、地方消費税の納付税額、還付税額の計算方法・計算の仕方

Contents

消費税の計算方法・計算の仕方~わかりやすく

1.納付税額、還付税額の計算要素

納付すべき消費税額は売上にかかる消費税額(預り消費税)から仕入にかかる消費税額(仮払い消費税)を差し引いて計算します。
納付税額=預り消費税-仮払い消費税

預り消費税、仮払い消費税はそれぞれ売上、仕入に関連して発生したものですが、ここで注意が必要なことは売上、仕入に含まれる取引の範囲は消費税法独自の概念であることです。会計の損益計算書でいう売上、仕入とは必ずしも一致しません。消費税法上の売上、仕入の概念の方が損益計算書の売上、仕入の概念より広くなります。

具体的には、会計で損益計算書に計上される売上、仕入は販売目的で仕入れた商品の売上や仕入など事業者の本業に関連する取引(営業取引)にかかるものですが、消費税法ではこれらの本業に関連する売上、仕入のほか売上には固定資産の売却や本業に関連しない役務の提供による収入等、仕入には固定資産の購入代金、消耗品などの経費の支出などが含まれます。
詳細は課税対象の項で説明します。

会計 消費税法
売上 本業に関連する財・サービスの提供にかかる対価 会計上の売上や固定資産の売却額など収入額
仕入 売上に対応する財・サービスの購入額 会計上の仕入(売上原価ではない)や固定資産の購入額、事務用品費などの経費など支出額

2.納付税額の計算式

納付税額の計算式は下記になります。
なお、実際の計算では国税分を最初に計算し、その後地方消費税の計算をします。

(1)預り消費税額-仮払い消費税額=(国税)納付税額(百円未満切捨)

預り消費税額の計算
①当課税期間中の税込み収入金額合計 × 100/110(※1)=税抜き収入金額の合計
②①で計算した税抜き収入金額合計の1,000円未満を切り捨て
③②で計算した1,000未満切り捨て後の税抜き収入金額の合計×7.8%(※2)=預り消費税額

※1消費税率が10%であるため、税込み金額から税抜きの金額を算出するために乗じます
※2消費税率10%の内訳は国税7.8%、地方税2.2%で、国税分の消費税額だけを算出します

仮払い消費税額の計算
①当課税期間中の税込み支出額合計 × 7.8/110 =仮払い消費税
②①で計算した仮払い消費税の円未満を切り捨て

(2)地方消費税の計算
(1)で計算した(国税)納付税額(百円未満切捨後)× 2.2/7.8 =地方消費税納付額(百円未満切捨)

(3) 納付税額
(1)と(2)で計算した税額の合計。マイナスの場合は還付。

3.預り消費税、仮払消費税(支払消費税)、納付税額、還付税額の計算方法具体例

消費税の10%は国税の消費税7.8%と地方消費税2.2%(軽減税率8%については国税の消費税6.24%と地方消費税1.76%)に分けられますが、預り消費税、仮払消費税(支払消費税)、納付消費税額の計算では、まずは国税分の消費税を求める計算をし、その後、国税分の消費税と地方消費税の比率に基づき地方消費税の計算をします。

(1)預り消費税の計算方法

預かった消費税の計算方法の具体例を示します。

例)当期に商品売上600,000円(税込)、サービス提供200,000円(税込)、建物の販売500,000円(税込)があった場合。
計算順序としては、最初に総収入金額を税込みで集計し、税抜きの収入金額にし(千円未満切り捨て)、税抜きの総収入金額に国税分の税率を乗じることで国税分の消費税を計算します。

総収入金額は税込みで、
600,000円+200,000円+500,000円=1,300,000円

税抜きに割り戻すと
1,300,000円×100/110=1,181,818.1818円

千円未満切り捨て 1,181,000円

国税分の預かった消費税は
1,181,000円×7.8%=92,118円

(2)仮払消費税(支払消費税)の計算方法

支払った消費税の計算方法の具体例を示します。

例)期首の商品在庫300,000円(税込)、当期の商品仕入500,000円(税込)、期末の商品在庫400,000円、サービス提供原価(当期に発生)5,000円(税込)、売却した建物(前期以前に購入)の取得価額950,000円(税込)、帳簿価額500,000円(税込)とした場合。

計算順序としては、当期に発生した取引にかかる仕入の税込み総支出額を集計し、総支出額に7.8/110を乗じ(円未満切り捨て)て国税分の支払い消費税を計算します。

会計上の費用は税込みで、455,000円になります。
期首商品棚卸高  300,000円
当期商品仕入高  500,000円
期末商品棚卸高  450,000円
売上原価     350,000円
サービス提供原価  5,000円
建物帳簿価額   500,000円
費用合計     855,000円

しかし、消費税法での支出は、取引発生時に認識しますので、支出額総額は
当期商品仕入高  500,000円
サービス提供原価  5,000円
支出合計     505,000円
になります。

国税分の支払った消費税は
505,000円×7.8/110=35,809.0909円

円未満を切り捨て 35,809円
となります。

(3)納付税額の計算

国税分の預った消費税から国税分の支払った消費税を控除します。100円未満は切り捨てます。
国税分の消費税に22/78(地方消費税率/国税分の消費税率)を乗じて地方消費税額を計算します。100円未満は切り捨てます。

92,118円-35,809円=56,309円

百円未満切り捨て 56,300円
になります。

地方消費税は、
56,300円×22/78=15,879円

百円未満切り捨て 15,800円
になります。

地方所費税を含めた消費税の納税額は
56,300円+15,800円=72,100円
になります。

(4)還付税額の計算

消費税が還付されるパターンには、

①当期の支出額が収入額を超えている場合
②当期の収入額が支出額を超えているが、中間納付額が収入額から支出額を控除した金額にかかる消費税額を超える場合

の2つがあります。

①当期の支出額が収入額を超えている場合

先ほどの例で、建物の購入が当期であれば、支出総額は
当期商品仕入高  500,000円
サービス提供原価  5,000円
建物取得価額   950,000円
支出合計    1,455,000円
になります。

国税分の支払った消費税は
1,455,000円×7.8/110=103,172.7272円

円未満を切り捨て 103,172円

92,118円-103,172円=△11,054円
となり11,054円の国税分の還付となり、
(還付の場合は百円未満の切り捨ては行いません。また還付金が1円未満の時は1円となります。(国税通則法120条1項、2項))

地方消費税は、
△11,054円×22/78=△3,117円(円未満切り捨て)
となり3,117円の還付となるため、

合計で14,171円(11,054円+3,117円)の還付となります。

②当期の収入額が支出額を超えているが、中間納付額が収入額から支出額を控除した金額にかかる消費税額を超える場合

先ほどの例で、中間納付が100,000円(消費税78,000円、地方消費税22,000円)あり、建物の購入が前期以前である場合。

支出総額は、
当期商品仕入高  500,000円
サービス提供原価  5,000円
支出合計     505,000円
になり、

国税分の支払った消費税は
505,000円×7.8/110=35,809.0909円

円未満を切り捨て 35,800円
となります。

国税分の預かった消費税は、
92,118円
ですので、
92,118円-35,809円=56,309円(※)

百円未満切り捨て 56,300円
の納付になりますが、中間納付が78,000円ありますので
56,300-78,000円=△21,700円
の還付になります。

地方消費税に関しては、
(※)56,300円×22/78=15,879円

百円未満切り捨て 15,800円
の納付になりますが、中間納付が22,000円ありますので
15,800-22,000円=△6,200円
の還付になります。

地方消費税を加えた還付額は、21,700円+6,200円の27,900円になります。




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