法人税の納税義務者
法人税法上、法人の意義については何も規定されていませんが、法人税法は「会社法」や「私立学校法」、「医療法」、「一般財団法人及び一般財団法人に関する法律」、「中小企業等協同組合法」、「中小企業団体の組織に関する法律」、「商工会法」、「宗教法人法」、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」、「信用金庫法」などの法律により設立された法人を法人税の納税義務者としています。
ここでいう法人とは、自然人以外で法律上権利・義務の主体として認められるものをいいます。
なお、法人税法では法人税を納める義務のある法人を、まず「内国法人」と「外国法人」に区分し、さらに、様々な法律によって設立された法人を「普通法人」、「公共法人」、「公益法人等」及び「協同組合等」に区分するとともに、「人格のない社団等」も法人税の納税義務ある法人としています(法人税法2条二~九)。
※内国法人とは、国内に本店または主たる事務所を持つ法人で、ここにある「国内の本店」とは会社法の規定により登記した場所をいい、また「主たる事務所」とは公共法人等や公益法人等、さらに協同組合等の会社以外の組織の本店に相当する事務所のことをいいます。
外国法人とは内国法人以外の法人をいいます。すなわち日本以外の国や地域に本店又は主たる事務所を持つ法人です。
法人税法上の会社区分
【内国法人】
(1)普通法人
株式会社(特例有限会社含む)、合名会社、合資会社、合同会社等の会社で、協同組合等、公益法人等、人格のない社団等の法人以外の法人をいいます。医療法人、企業組合も普通法人に含まれ、全ての活動に対し法人税の納税義務があります。
特例有限会社
2006年(平成18年)5月1日の会社法施行により「有限会社」が廃止されたことで、その日から新たに「有限会社」を作ることができなくなりました。これにより、従前に有限会社であった会社がいきなり株式会社に変わると混乱を起こすため、整備法という法律で有限会社の性質を一部残した形で株式会社にすることになった会社のことです。なお、商号の中に「株式会社」ではなく「有限会社」の文字を用いなければなりません。
合名会社
会社の債権者に対し直接連帯して無限に責任を負う「無限責任社員」だけで構成される会社のことをいいます。 1人での設立が可能です。
合資会社
会社の債権者に対し無限に責任を負う無限責任社員と、出資額を限度に責任を負う有限責任社員各1名以上からなる会社のことをいいます。 無限責任社員は業務執行、代表権をもち、労務・信用出資もできますが、有限責任社員は監視権以外の権利・義務が無く財産出資に限られます。
合同会社
出資者全員が出資額を限度に責任を負う有限責任社員だけにより構成される会社です。株式会社と同様に出資者の責任は出資額に限定されるため、一定のリスクが回避できるという点が大きな特徴です。また、株式会社に比べ定款自治が広く、定款認証手続が不要、会社設立に必要な登録免許税が安い等のメリットがあります。
(2)公共法人…法人税法別表第1に掲げる法人
日本中央競馬会、日本放送協会、国立大学法人、土地区画整理組合などの法人で、公共法人は政府関係の特別な法律により設立され、政府の代行機関というべきものであり、公共の事業を行うことを目的とします。財産や所得は国に帰属することを原則としますので、法人税の納付義務はありません(法人税法4条2項)。
(3)公益法人等…法人税法別表第2に掲げる法人
宗教法人、学校法人、社会福祉法人、公益社団法人、公益財団法人など社会公共の利益を図ることを目的とし、原則として営利を目的としない法人です。非収益事業に対しては公共性が大きいため納税義務はありませんが、収益事業に対する法人税の納税義務は発生します(法人税法4条1項)。
(4)協同組合等…法人税法別表第3に掲げる法人
農業協同組合、漁業協同組合、信用金庫など個人、農民などの生活や事業改善を目的として共同事業を行う組織です。全ての活動に対し法人税の納税義務があります(法人税法4条1項)。
(5)人格のない社団等…法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの
P.T.Aや同窓会、労働組合、マンション管理組合など個人でも法人でもないけれど法人と同様の活動をしている団体(社団や財団など)であることから法人とみなすこととし、収益事業を行っている部分に対しては法人税の納税義務があります(法人税法4条1項)。
【外国法人】
国内源泉所得がある場合(人格のない社団等については、国内での収益事業から生じたものに限ります)、法人課税信託の引き受けを行う場合、退職年金業務等を行う場合納税義務者となる
(1)普通法人
日本以外の国や地域に本店又は主たる事務所を持つ内国法人以外の法人
(2)人格のない社団等
日本以外の国や地域に本店又は主たる事務所を持つ人格のない社団
【個人】
法人課税信託の引き受けを行う場合は、個人であっても法人税法上、法人税の納付義務がある事とされています(法人税法4条4項)。